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映画「009 RE:CYBORG」感想
2012年11月10日 (土) | 編集 |


以下、ネタバレあり。




意欲だけは100点満点。
今作を評するなら、その一言に尽きます。
制作側の、「009の映画を作りたい!」という本気な気持ちは、
見ていてはっきり伝わってきました。
みんな、009が好きなんだなあって。

ただし、映画として、娯楽作品として、
面白かったかどうかは別です。
決して面白くなかったわけではないんですよ。
ただ、細かいところで、
「不満とも言えないような小さなもやもや」
があったせいで、素直に楽しめなかったんですね。
「面白くなかったとは言わないけど、手放しで肯定はしたくない」
というのが、正直なところ。

いかにもハリウッドぽさを目指した演出が鼻につくなあ、とか、
パンフレットに書かれてること、映画内で描き切れてないよ、とか、
本当にそういう細かい部分でのもやもやの、積み重ねなんですけどね。
でもやっぱり一番大きいのは、オチに関して、かなあ。
いや、理解は出来たつもりなんですよ。
ようするに、メタ的なメッセージが込められた結末なんですよね。

「あの状況で、どうやって助かったのか?」
に関しては、制作側は答えるつもりがないんだと思います。
あのラストシーンで、
フランソワーズが微笑みながら口元に指を当てたのが、
まさに制作側からの回答ですよね。
「それは言いっこ無しだよ」っていう。

ここで大事なのは、
「なぜ、みんな生きているのか?」
ではなくて、
「なぜ、みんな生きているという結末にしたのか?」
の方なんです。
そしてその答えも、作中ではっきり言ってるように、
「誰かがそう望んだから」
なんですよね。
島村ジョーが死ねば、009という作品は終わらざるを得ません。
そして、009が終わることを望まない人は、確実にいるでしょう。
ジョーだけでなく、メンバーの誰かが欠けることも望まない人だって、
きっといる。
だからこそ、あのラストなんです。

そんなオチが、ありかどうかで言えば、圧倒的にありですよ。
だって、そもそもこの映画自体が、二次創作なんですから。
ようするに、
「作りたいと望んだ人がいたから、生まれた物語」
なわけです。
あの世界そのものが、望まれたからこそ生まれているわけです。
で、この論を突きつめると、
制作側が、殺したくないと望めば、彼らは死なないわけですよ。
つまり、誰よりも何よりも、
製作側が全員生存エンドを望んだからこそ、
あの結末なんですね。

厳密に言えば、物語として、終わってはいるんです。
「終わらせなければ、始まらない」
というキャッチコピー通り、そしてタイトル通り、
何もかもリセットさせたわけですから。
その上で、
「細かいことはいいじゃん。ここからまた、新しい物を作っていこうぜ」
というのが、制作側からのメッセージなんじゃないかな、と。

もちろんこれは解釈の一つでしかなく、
「私がそう感じた」というだけですが、
投げっぱなしエンドとも受け取ることができるこの終わり方、
好き嫌いは、はっきり分かれるでしょうね。
個人的にこういうオチ自体は好きなんですけど、
今作に関してはしっくりこないというか、
見終わっても「なるほどなあ」と思うくらいでした。
それで、その違和感の正体についてずっと考えてたのですが、
結局のところ、

「キャラデザを大幅にいじり、リアル路線で作ってるのに、
 メタな終わり方をしたから、しっくりこないんだろうなあ」

と、今は思ってたりします。
もっとアニメらしさを前面に押し出した、娯楽感満載の内容で、
このオチなら、きっと満足できたはずなんですけど、
「オチ」と「それ以外」の調合に失敗してるな、
と個人的には感じました。
死んだのかどうかも描かれてなかったからこそ、可能なオチ。
それは分かる。分かるけど、
ピュンマだけは、何がどうなったのかさえあやふやだったので、
「生きててもいいけど、結局なんだったの?」
っていうところがぼんやりしてて、もやもやするというか、
これじゃあ投げっぱなしたと思われても仕方ないよなあ、とも。

アクションシーンは、とても良かったんですよね。
009らしさがしっかり表現された、「分かってる」演出の数々。
個人的に一番盛り上がったのは、ジョーが核爆発から逃れるため、
加速装置全開で全力疾走する場面。
あれは燃えた。超燃えた。
まあ、加速装置関連でも欲を言えば、
「もうちょっと上手いことハッタリをかまして欲しかったなあ」
と思う個所もあったりはしたのですが、
わざわざ細かく突っつくほどでもないか。

声優さんの演技に関しても、文句無し。
隙の無い完璧な布陣。
特に斎藤千和がとっても素敵でした。
個人的に大好きな声優さんではあるんですが、
そういう贔屓目を抜きにしても、素晴らしかったです。
2キャラの演じ分け、感情の機微の表現など、
あらゆる面で「お見事!」と言うしかありません。
これでこそ斎藤千和。日本の至宝。愛してる。

と、いい面もたくさんあっただけに、非常に惜しいんですよね。
「009の今を描く」という試み自体は、とても素晴らしく、
挑戦的で、ユニークな内容ではあるので、
見に行って良かったとは思ってます。
ただし、結論としては先に述べた通りです。
面白くなかったとは言わないけど、手放しで肯定はしたくない。
手放しでは肯定したくないけど、面白くなかったわけではない。
そういう映画ですね。
もうちょっと満足したかったなあ。


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テーマ:サイボーグ009
ジャンル:アニメ・コミック
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