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咲-Saki-二次創作 『落星』
2013年03月04日 (月) | 編集 |


阿知賀編最終回を自分なりに
想像してみたシリーズ、第二弾。
大星淡視点。
ややグロ注意。




新道寺だけじゃない……!?


千里山からの倍満直撃を受けて、
私の心には動揺が広がっていた。
訳が分からなかった。
自分の本気が、こんなに何度も止められるだなんて、
まったく想像もしていなかった。
新道寺のコンボに、千里山の不可解なあがり。
そして、阿知賀。
ありえない。
絶対にありえない。
実力だけなら高校100年生のこの私が、
ここまで押されるなんて、あってはいけないことなんだ。

「……なんかもう、面倒くさいな」

誰にも聞こえないくらいの声で、小さくつぶやく。
不愉快だった。
思惑が外れたこと、気持ち良く打てていないこと、
そして何より、多分この人たちが、
私に勝てるかもしれないって思ってること。
その全てが、何もかも気に入らない。

いいわ、見せてあげる。
私の本気には、もう一段階、上があるってことを!

「星に愛された私の力、思い知れ!」

両手を掲げ、強く念じる。
そして、目を見開く。

「はぁ――――――っ!!」

次の瞬間、その場にいる誰もが驚愕の表情を浮かべた。
巨大な隕石が、天井を突き破り、すさまじい速さで落ちてきたからだ。
轟音と共に、隕石は会場に突き刺さる。


土煙が収まった頃、私は一人静かに、その場に立っていた。
身体には傷一つ負っていない。
隕石は私だけを避けるようにして砕け散ったからだ。
これが、星に愛された私の、本気の本気。
大星淡の名前は伊達じゃない。

「さて、他の三人はどうなったかな」

ぐるりと周囲を眺めてみる。
会場はもう無茶苦茶で、
元がどんな場所だったのかも分からないくらいだ。
こんな状況では、彼女たちも無事では済まないだろう。
仮に生きていたとしても、試合の続行なんて不可能。
白糸台の勝ちは確定だ。

「おっ、一人目はっけーん」

新道寺の大将「だったもの」を見つけ、私は笑みを浮かべる。
ま、直撃コースだったからね。
原形を留めてる方がおかしいよね。
まずは一人。
あとは、千里山と阿知賀か。

「この程度なんか?」
「――えっ」

不意に聞こえてきた言葉に、私は身体を硬直させた。

「あんたが星に愛されてんのは、よーく分かった。
 でもな、うちも伊達や酔狂で『竜』の名を
 背負ってるわけやないんやで」

瓦礫を押しのけ、人影が現れた。
それは、千里山の大将。
その姿を見て、私はさらに衝撃を受ける。
彼女の髪が逆立ち、金色に輝いていたからだ。
しかも、その全身はまばゆいオーラに包まれている。

「まさか、あなた、あの伝説の!?」
「戦うことにしか生きる意味を見いだせなかった私を、
 麻雀は変えてくれた。
 もうこの力は使わへんって、固く誓ってた。
 でもな、あんたがその気なら、うちだって容赦せーへんで」

その圧倒的な迫力に、私は一歩後ずさる。
そして、気付く。
阿知賀の大将の姿がないことに。
彼女はどこ?
血痕もなければ、肉片の一つも転がっていない。
まさか、跡形もなく吹き飛んだ?

「こっちだよ」
「!?」

声に反応して、慌てて振り向く。
そこに立っていたのは、
まったく無傷の姿の、阿知賀の大将だった。
どうして!?
あんなにでっかい隕石が、会場に落ちてきたんだよ!?
見たところ彼女は、あの伝説の戦闘民族ってわけでもなさそうだし、
いったい、なぜ!?
困惑する私に、阿知賀の大将は微笑みを浮かべた。

「私の奥歯には、加速装置が仕込まれているんだ」
「……は?」
「1速でマッハ1、2速でマッハ2。
 最大で100速まで上げることが出来るんだ」

――えっと、つまり、なんだ。
尋常じゃない速さで、迫り来る破片を、
全て避けたということ?

「そんなの、人間技じゃない……」
「そう。私は秘密組織によって改造されたサイボーグ。
 その最後の試作体、ナンバー00100が、私なんだ!」

分からない。
彼女が何を言ってるのかが分からない。
分かるのは、自分がちっぽけな存在だっていうことだけ。
宇宙をも制したつもりになっていたけど、
とんだ井の中の蛙だ。
この二人にはどうやって勝てばいいのか、さっぱり思いつかない。

(もう一度、星を落とすか?)

そんな思いが胸の内に生まれた、そのとき、

「えっ」

私の背中に、衝撃が走った。
なんだろう?
首だけを振り向かせると、誰かが私の背後に密着し、
何かを押し当てているのに気付く。
これは、新道寺の、副将?

「――っ!」

次の瞬間、激しい熱と、鋭い痛みが、全身に広がった。
身体からは力が抜け、その場に崩れ落ちる。
背中からは大量の血があふれ出し、地面が赤く染まっていく。
見上げると、新道寺の副将は、赤く濡れた刃を片手に、
暗い瞳を私に向けていた。
その目は、何も語っていなかった。
まるで大切なものを失ったかのように、空虚な眼差しだ。

(仇打ち、か……)

薄れゆく景色の中、最後に浮かんだのが、そんな言葉だった。






この日の出来事は後に『星落とし事件』と呼ばれ、
長く語り継がれることとなる。
死者二名という惨劇の結果に、多くの人が嘆き悲しんだ。

惨劇を引き起こした大星淡と、彼女を殺害した白水哩。
両選手の所属する白糸台と新道寺女子は、
事件の責任を問われ、チームは失格。
これにより、阿知賀女子と千里山の決勝進出が決定した。

試合後、高鴨穏乃と清水谷竜華は、
二人して向き合い、笑みを浮かべていた。

「また、決勝で!」
「お互い全力で、戦おうな!」

拳と拳をぶつけ合った二人は、その瞳に熱い闘志を燃えたぎらせる。
彼女たちの戦いは、まだ始まったばかりだった。



咲-Saki-阿知賀編、これにて完結!
次回からは「咲-Saki-阿知賀編GT改 RE:ACHIGA」が始まります!
お楽しみに!


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テーマ:咲-Saki-
ジャンル:アニメ・コミック
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